海外に移住すると英語力は自然に向上するのか

　多くの人は「海外に移住して英語が飛び交う環境で暮らしていれば、少なくとも日本にいる頃よりは英語力は身につくだろう」と思うことでしょう。
　マレーシアの公用語はマレー語ですが、日常生活に必要な手続きの殆どは英語ですすめることができます。英語を一切使わずに生活することは不可能なので、全く英語の話せなかった人でも必要最低限の会話表現や語彙力は向上するはずです。だからと言って日常生活に全く困らない程度に英語がスラスラと話せるようになるかと言うと、そんなことはあり得ません。
　私はマレーシアに来て最初の１年間は日本語対応のカスタマーサポート職に就いていました。当然同僚も日本人が多かったのですが、「思った以上に全然英語話せるようにならないよ」と皆さん口を揃えて言いますね。Grabで配車やフードデリバリーを手配したり、レストランでもスマートフォンで注文する形式のお店が多かったりと、英語を使わなくても生活にほとんど不便がないので「今日は一言も英語使わなかったなぁ」なんてことがザラにありました。私は渡航して3ヶ月経過した時点で全く英語が話せるようになっていない、それどころか現役教師の頃よりも英語力が衰えたと感じたので、一日30分のオンラインの英会話レッスンを始めました。それが功を奏したのか、好条件の英語力も求められる仕事に（ギリギリの成績で）転職することができました。周りの同僚もとりあえず契約期間の1年は働いて、次は要英語の職に就くためにまずは語学留学のためにフィリピンへ、という人が結構多かったです。
　というわけでいくら海外にいても、日本人ばかりに囲まれて生活していては英語力は一向に伸びません。ローカルの人たちが集まるコミュニティーに積極的に参加したり、意図的に英語を使う機会を作ることはやっぱり必要だと思います。