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今日は海外転職を検討している方に、日本人向けのマレーシア就職事情についてお伝えしていきたいと思います。
マレーシアでの日本人の求人といえば、ほぼほぼコールセンター業務といっても過言ではありません。マレーシアの物価が安いことや政府がBPO企業を優遇しているといった理由から、コールセンター業務を委託する海外のBPO企業の多くがマレーシアに進出しているのだそうです。美容師や日本料理の料理人など特別なスキルのある人向けの求人もあるようですが、常に募集をかけているという感じではないようです。というわけで私たちにとって一番マレーシア就職のハードルが低いコールセンター業務について、自分の経験談を紹介していきます。
マレーシア移住2年目となる現在もコールセンター勤務を続けている自分からすれば、コールセンター就職は断然アリです。ただしこれは絶対全ての人に当てはまるとは言えないので、事前に知っておいた方がいいことについて持論を述べさせてもらいますね。
お客様からのクレームが想像以上にストレス
私がマレーシアに移住して最初に就職したのはe-commerceサイトのカスタマーサポート職でしたが、理不尽なクレームをあれこれと聞かされることは耐え難いほどのストレスでした。教師もいろいろな意味で相当ブラックな職業だし理不尽なモンスター親子に散々苦しめられたことも多々あったので、私はクレームに対するストレス耐性は高い方だと思っていました。しかし教師は18年(小学校でも1年勤務したことがある)続けることができた私がたった1年で音を上げたほど、コールセンター業務のカスタマーハラスメントは過酷なものだったのです。
・お互いの顔が見えない
・後腐れのないその場限りの関係性
・何を言っても他人の耳に入る心配がない
・迷惑を被った顧客という圧倒的優位な立場
このようにものを言いやすい条件が揃いすぎた状況下で怒り心頭したカスタマーがオペレーターに投げかける辛辣なクレーム内容の酷さは凄まじいもので、おもてなし大国・日本の漆黒の心の闇を感じます。
私も仕事に就く前は「クレーマーゆうても電話越しに言われるだけだし、ぶん殴られるわけじゃないし、大丈夫っしょ♪」くらいに思っていましたが、一日中PCに向かって罵詈雑言や滅茶苦茶な要求を聞かされることでどれほど精神を蝕まれるか、それは実際に体験した人にしか分からないでしょう。
マレーシアのBPO企業は勤続1年未満で退職すると何十万という違約金を請求する会社が多いです。これも巷では物議を醸していますが、個人的には移住費用やトレーニング期間中の給与の返済と思えばまあ妥当かなと思います。私が1年はきっちり勤めたのもこの契約のことがあるからなのですが、中にはとても成績優秀なのに、どうしても耐えられないとのことで違約金を全額払い半年で退職した人や、鬱になってしまい途中で出社できなくなってしまったという人もいました。そんなに多くはありませんが、肌感覚としてはちょうど1クラス中の不登校生徒の割合と同じくらいかなあという感じです(発想がまだ教師目線😅)。
転職サイトで常に募集をかけている仕事は離職率が高いということなので、クレームを多く受けるプロジェクトの可能性が高いです。ストレス耐性の低い人は1年でさえ続けられないかもしれないので、転職エージェントさんに仕事内容や離職率、違約金の有無などについてきちんと確認することをおすすめします。
今私は別の会社でやはりカスタマーサポートスタッフとして働いていますが、前職に比べたらクレーム対応は少なめなので、さほどストレスを感じることなく仕事を続けることができています。一口にコールセンターと言ってもクレームのほとんどないプロジェクトやチャット対応のみでお客様と直接話さなくてもよいというプロジェクトもあるようです。ただし離職率の低い仕事は当然採用のハードルが高いので、すぐにでも就職を決めて移住したいという人以外はじっくり仕事を選んだ方がいいかもしれません。
モチベーションが持続しない
これも前職を1年で辞めたことに大きく関わるのですが、コールセンターは当然、一日中パソコンに向かってお客様からの問い合わせを受け続けるのが基本業務です。問い合わせ内容は多岐に渡りますが基本的には同じ作業の繰り返しです。多くの人は、最初のうちは覚えることが多くて本当に大変と思っていたはずが、3〜4ヶ月もすれば自然とかなりの知識や技量が身についているものです。一般の社会人は余裕が出てくるまでに通常3年はかかるものだと思いますが、コールセンターは半年もすれば一人前、1年勤めると体感としてはもう5年くらい勤続しているような錯覚に陥ります(笑)。思い返すと最初の3ヶ月位は分からないことだらけで辛いものの、毎日少しずつ自力で出来ることが増えていく実感があってそれが結構モチベーションになっていました。しかし半年を経過すると「管理者になりたいとも思わないし、職場に篭って同じことの繰り返しだし、もうここで得るものないかも…」と思ってしまっていましたね。ただし『この仕事をしているからこそマレーシアで生活することができる、それだけで十分この仕事には価値がある』ということも間違いなく言えるので、とりあえず1年間はそのマインドで乗り切りました。
人によっては、コールセンター業務の単純作業は予想以上に精神的苦痛が大きいかもしれません。
会社から解雇されることもある
コールセンター業はかなりシビアに成績を求められるプロジェクトが多いと思います。評価内容は会社の方針によって様々ですが、1日あたりの対応件数やカスタマーからのアンケート結果などの観点で個々の成績が決まります。試用期間中に会社が定めたスコアに成績が届かなかった人はその時点で契約を切られるし、本採用されてからも著しく成績が低い人はやはり途中で契約を切られることがあります。多くの会社は簡単に辞めさせないように手厚く指導したり部署移動などの救済措置をしたりしているらしく解雇される割合はかなり低いようですが、可能性としてゼロではありません。また成績に問題がなくても、プロジェクトが突然閉鎖して完全なる不可抗力で解雇となるケースもあるそうです。
これが日本だったら「解雇されたものはしゃーない、とりあえず次決まるまでは実家にお世話になるか」などとなりますが、マレーシアで解雇となるとビザキャンセルのために一度出国しなければならない場合もあるし、コンドミニアムは基本1年契約だし、後の手続きが色々大変という不安要素はやっぱりあります。いざそうなった時に頼りになるのは結局お金なので、現時点であまりに貯蓄がカツカツという人はすぐに移住するのは見合わせた方がいいかも…と個人的には思います。
迷っているなら挑戦する価値はアリ!!
随分と不安を煽るようなことばかり書いてしまいましたが、私はここで述べたクレームの多いカスタマーサポート職に就いたことを全く後悔していません。私の元同僚も1年で退職した人が多いですが、クレーム対応がキツいと言いながらもこんな仕事に就くんじゃなかったと本気で後悔している人はほとんどいないと思います。渡航手続きや現地での銀行口座の開設なども会社が手配してくれたので海外移住のハードルがうんと下がったし、教師の頃と比べて残業がほとんどないので毎日オンライン英会話レッスンを受けることができました。その甲斐あって次は条件のいい会社に転職することができたし、前職の経験が今の仕事の糧になっていると感じます。それに何よりコールセンター業務はその業種のコアな知識が身につくので、本当に勉強になることが多いです。フードデリバリー、オンライン通販、旅行サイトなどコールセンターにも様々なプロジェクトがあるので、数年スパンで色々な業種のコールセンターを渡り歩くのも面白いかもしれないなぁと密かに思っています。
また、海外就職に挑戦する人は日本人特有の固定観念に捉われずパワフルで魅力的な人が多いと感じます。元同僚の中には英語が話せなくても50代後半からマレーシア就職を果たした方もいて、素晴らしいチャレンジ精神だな、人間何歳になってからでも色々なことに挑戦できるなぁと良い意味でインスパイアされました。そんな風に素敵な出会いをたくさん経験することもできたりと、トータルで判断するとマレーシアでコールセンター就職をして本当によかったと思っています。『いざ来てみたもののフタを開けたらブラックな職場だった=海外就職失敗』というわけでは決してありません。まずは移住を果たしてしまえばその先の可能性は大きく広がるので、少しでも迷っているのならば一度転職エージェントに相談してみるだけでも損はないと思いますよ🖐️
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